平成29年度 春季京都非公開文化財特別公開
京都古文化保存協会から、「平成29年度 京都春季非公開文化財特別公開」について発表されています。
期間は4月28日(金)から5月7日(日)まで。
ただし、法要などで変更があったり、公開内容が未定の社寺がありますので、詳しくは京都古文化保存協会のサイトをご覧ください。
今回は、新緑の大原の里めぐりと、嵐電に乗って嵯峨野めぐりという感じでしょうか。
大原の里
「京都観光Navi」で紹介されている観光ルート「大原から古知谷へ」をたどると、効率よく回ることができそうです。
古知谷 阿弥陀寺を出発して、寂光院、実光院、勝林院、三千院、来迎院を回るルートで、宝泉院は勝林院のすぐ隣です。
古知谷 阿弥陀寺
初公開です。
木食上人弾誓が念仏の修行道場として創建した、浄土宗のお寺。
上人は五条の橋から北を望み、紫雲がたなびき光明の輝いた当地に決めたのだそうです。
入定した上人は即身仏として石棺に納められ、本堂の奥の開山窟に安置されています。
寂光院
もとは聖徳太子が創建した尼寺です。
長楽寺で出家した建礼門院徳子が入寺して、平家一門と安徳天皇の菩提を弔って過ごしました。
2000年(平成12年)に本堂が焼失してしまいました。
現在の本堂は2005年(平成17年)に焼け残った部材や木組をいかして再建、落慶されました。
現在のご本尊は復元された地蔵菩薩立像ですが、今回の特別公開では一部焼け残った前のご本尊と、無事残った胎内仏などが拝観できます。
宝泉院
初公開です。
天台声明発祥の地である勝林院の塔頭寺院です。
額縁庭園「盤桓園」や、伏見城の遺構の「血天井」で有名なお寺です。
公開されるのは、茶室の「日新庵」などです。
三千院
「特別協力」で、書院にて寺宝が公開される予定です。
三千院は天台宗の開祖、伝教大師最澄が比叡山の延暦寺とほぼ同時期に建てた円融房が始まりです。
堀河天皇の皇子、最雲法親王が門主となって以来、門跡寺院となり梶井門跡と称されます。
宇多野・嵯峨野めぐり
嵐電は四条大宮から嵐山、北野白梅町を結ぶ路面電車です。
嵐電と市バスを組み合わせると、今回「北野・東山遊楽図屏風」が初公開される北野天満宮、仁和寺、妙光寺、遍昭寺、鹿王院、厭離庵を回ることができます。
妙光寺
初公開です。
建仁寺派のお寺で、室町時代には「京都十刹」の第8位に定められていました。
花山院藤原師継が山荘を寺に改めて創建した妙光寺に、師継の子の心性・師信兄弟が開山として、無本覚心(法燈国師)を招きました。
花山院家と南朝との縁により、室町時代に一時「三種の神器」が難を逃れるために妙光寺に移されたといわれます。
境内には野々村仁清の墓や、妙光寺にかくまわれていた高杉晋作が酒に酔って落ちた井戸などがあります。
遍昭寺
10年ぶりの公開です。
もとは広沢池のほとりにあり、花山天皇の勅願により寛朝僧正が建立しました。
公開される十一面観音立像と不動明王坐像はどちらも創建当時のもので、定朝の父の康尚の作とされます。
私は前回の公開時にお参りしています。よろしければ参拝記「京都非公開社寺めぐり 遍照寺 | 立待の月と野山の錦」もお読み下さい。
鹿王院
14年ぶりの公開です。
足利義満が春屋妙葩(普門国師)を開山に迎えて建立した、宝幢寺の開山塔です。
臨済宗のお寺で、「京都十刹」の第5位に定められていました。
応仁の乱で衰退し、鹿王院だけが江戸時代に再建されました。
今回公開される舎利殿は、唐様と和洋の折衷建築です。
厭離庵
10年ぶりの公開です。
臨済宗の尼寺で、藤原定家の山荘跡と伝わります。
あるいは実信房蓮生(俗名 宇都宮頼綱)の中院亭跡ともいわれます。
蓮生が三鈷寺に移り住んだあと、この山荘を藤原定家の嫡子の為家に管理させました。
山荘の襖を飾る色紙を定家に依頼し、定家が選んだ100人の名歌が「百人一首」の原型になりました。
公開される本堂と茶室時雨亭は、明治時代の再建です。