京都・奈良の龍(龍神)にゆかりのある社寺
日本における龍は、中国の龍の影響を受け、水神である蛇が神格化されたものです。
龍が住むとされる川や沼・淵・池などで五穀豊穣の祈願や、雨乞いが行なわれます。
また、龍は雨や雷をもたらす雷神とも結びつき、竜巻のときに天に昇ると考えられています。
そして、海を司る海神も水神と結びついて龍神と同義語とされ、豊漁が祈願されています。
そこで、京都市・奈良県の龍にゆかりのある社寺を、私が知っている範囲内に限定して集めました。
あくまでも私感(趣味)に基づいています。
大神神社
『日本書紀』に、主祭神の大物主神が小虵の姿になって、倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)のもとに通ったという神婚伝説が書かれています。
拝殿の前の杉の木は「巳の神杉(みのかみすぎ)」と呼ばれ、卵や酒がお供えされています。
春日大社
毎年、中秋の明月の日に、猿沢池畔に鎮座する采女神社のお祭りが行なわれています。
天皇の寵愛を失ったことを嘆いて、猿沢池に身を投じた采女の霊をなぐさめるお祭りです。
采女が身を投じたことで池が穢れてしまったので、猿沢池に住む龍が御蓋山頂の祠に移り住んでしまったとの伝説があります。
その龍をお祀りする龍王社が、春日大社創建1250年記念事業の一環で140年ぶりに再建されました。
「水谷九社めぐり」第3番納札社としてお参りできます。
また、龍神をお祀りしてはいないのですが、金運向上の御利益のある金龍神社があります。
岡寺
岡寺は正式名称を龍蓋寺(りゅうがいじ)といいます。
開祖の義淵僧正が、飛鳥の里人を困らせる悪龍を法力によって境内の池に閉じ込めて改心させ、蓋をしてしまったため寺の名前となりました。
この龍蓋池で蓋をしている石を触ると、雨が降るといわれます。
海龍王寺
玄昉僧正は遣唐使として唐に渡り、一切経の経典などを携えて帰途につきましたが嵐に遭い、僧正の船1艘のみが無事に帰国しました。
これは僧正が海龍王経を一心に唱えたから海龍王が護ってくれたのだと信じられ、以後、遣唐使の安全祈願がここで行なわれるようになりました。
海龍王をお祀りする祠が境内にあります。
海外留学や旅行などの安全の御利益があります。
寶山寺・朝護孫子寺・磐船神社・石切劔箭神社・枚岡神社
風水では、山脈の尾根筋のうねりなどを龍にたとえ、龍脈と呼びます。
奈良西部の生駒山・信貴山・金剛山のある生駒山地も龍脈と見られます。
列挙した社寺はすべて生駒山地にあります。
どこも龍にまつわる由緒は見かけないのですが、場所柄、龍の神気が感じられるのではないかと思います。
室生龍穴神社・龍鎮神社
どちらも宇陀市にあります。
室生龍穴神社はもとは室生寺がここの神宮寺でした。
上流にある「妙吉祥龍穴」に龍穴神社のご神体(龍神)が鎮まっているといいます。
龍鎮神社は深谷龍鎮渓谷の上流にあります。
室生龍穴神社から龍神を勧請したという海(かい)神社の、境外摂社です。
龍神はエメラルドグリーンの滝壺に鎮まっているそうです。
妙心寺・相国寺・天龍寺などの禅宗寺院
禅宗のお寺の法堂の天井には、龍の絵が描かれています。
その理由を、妙心寺さんがサイトで分かりやすく説明されています。
地主神社
拝殿の天井に龍が描かれています。
この龍は夜になると絵から抜け出して音羽の滝の水を飲みに行くため、眼を釘で打ち付けられたという伝説があります。
清水寺
地主神社と隣接する清水寺の方にも、観音様の化身である龍が音羽の滝の水を飲みに来るという伝説があります。
平成12(2000)年、ご本尊のご開帳を記念して、青龍会が始まりました。
八坂神社
拝殿の地下に神泉苑と繋がっている龍穴があって、青龍がここに眠っているといわれます。
神泉苑
弘法大師が善女龍王を勧請して、雨乞いの祈願をしたことで有名です。
貴船神社
貴船神社の本殿の下にも龍穴があります。
水神さまである貴船明神ご自身が龍神であるとの信仰があります。