奉祝 天皇陛下御即位 令和元年度秋 第55回京都非公開文化財特別公開
京都古文化保存協会から、秋の特別拝観「奉祝 天皇陛下御即位 令和元年度 第55回京都非公開文化財特別公開」について発表されています。
期間は令和元(2019)年11月1日(金)から10日(日)までです。
ただし、開催日時などは場所によって異なり、公開予定が変更される可能性もありますので、京都古文化保存協会のサイトで確認してください。
10月22日(火・祝)に、皇居宮殿の正殿松の間において、新天皇の即位を国内外に宣明する「即位礼正殿の儀」が行なわれます。
これに伴って、今秋の「第55回京都非公開文化財特別公開」では皇室や宮中にゆかりの建物や寺宝が公開されます。
皇室ゆかりの品の公開
冷泉家
冷泉家は、藤原定家の孫の為相を祖とする御子左家の流れをくみます。
明治維新後も京都に残り、和歌に関する古文書と文化を継承しています。
昭和天皇御大典(即位礼と大嘗祭)は、昭和3(1928)年に京都御所で行なわれました。
このときの束帯一式、礼冠(礼服に用いる唐風の冠)などが公開されます。
清浄華院
清和天皇の勅願により天台宗の慈覚大師円仁が、宮中に創建した道場が始まり。
比叡山を下りた法然上人がこの道場に寄宿して教えを説き、感銘した後白河法皇から道場を賜わって清浄華院としました。以来、皇室や公家から厚い帰依を受け続けました。
今回はゆかりの寺宝などが公開されます。
門跡寺院
門跡寺院とは皇族や公家が住職を務めたお寺で、ふだん非公開であることが多いです。
この「第55回京都非公開文化財特別公開」のような機会が、お参りのチャンスです。
大覚寺門跡
秩父宮御殿と庭湖館が公開されます。
秩父宮御殿は、昭和天皇の弟君の秩父宮のお屋敷が、昭和46(1971)年に大覚寺の貴賓館として下賜されました。
皇族が大覚寺を訪問されたさいの休息場所として利用され、今上天皇がご幼少のころに大覚寺に来られたおりにも休憩に使われました。
秩父宮御殿は大正12(1923)年の建築で、花鳥の上品な色合いの襖絵で彩られています。
平成27(2015)年に戊戌記念事業による修復工事が完了しました。
境内にある安井堂は、明治4(1871)年に蓮華光院安井門跡の御影堂を移築したものです。
安井門跡は廃絶し、現在は安井金比羅宮として東山区に鎮座しています。
光照院門跡
南北朝時代に、後伏見天皇の皇女の進子内親王が開山しました。
本堂、ご本尊の清凉寺式釈迦如来立像、常磐会館(昭和天皇御大典の建物)が公開されます。
三時知恩寺門跡
南北朝が終わった応永年間(1394~28)、後光厳天皇の皇女の見子内親王が、宮中に安置されていた唐から伝わった善導大師像を本尊として創建しました。
現在の堂宇は、桃園天皇の女御の恭礼門院の旧御所を下賜されたものです。
知恩院門跡
浄土宗の総本山で、慶長12(1607)年に後陽成天皇から門跡の名号を賜わりました。
今秋は国宝の三門内部が公開されます。元和7(1621)年に徳川秀忠が建立した国内最大級の木造の門です。
妙法院門跡
鎌倉時代から幕末まで法親王が住持しました。
公開される大書院(重文)は、後水尾天皇の中宮の東福門院和子の女御御殿です。
初公開
この秋の初公開は4カ所です。
梅辻家住宅
明治4(1871)年の国家神道令の発令まで、上賀茂神社に神主として居住した社家のうちの一つでした。
「賀茂七家」の現存する唯一の遺構で、市の指定文化財です。
伝統的な社家建築の主屋と、御所の御学問所を移築した黒書院、社家に伝わる書物などが公開されます。
妙心寺 境外塔頭 金臺寺
金臺寺は妙心寺の境外塔頭で、北区等持院西町にあります。
平安時代の創建で池上寺と称していましたが、江戸時代に妙心寺第131世輝岳宗暾が国泰寺と改め、のちに現在の金臺寺となりました。
本堂と客殿、ご本尊の釈迦如来像、狩野永岳筆の襖絵などが公開されます。
宝塔寺塔頭 大雲寺
西之大坊 大雲寺は、伏見区の深草にある宝塔寺の塔頭です。天正18年(1590)に宝塔寺の仮本堂として建立されました。
「明正天皇御即位行幸図屏風」などが公開されます。
明正天皇は、江戸時代初期の後水尾天皇の第2皇女で、父から譲位されて称徳天皇以来859年ぶりの女性天皇として7才で即位しました。
東福寺塔頭 正覚庵
東福寺の塔頭寺院です。鎌倉時代に創建されました。
「筆の寺」の通称を持ち、毎年11月23日に境内の筆塚で筆供養が行なわれます。
本堂(旧白州屋敷)、茶室(旧白州屋敷玄関)などが公開されます。
明治・大正の実業家の白洲文平(戦後、近衛文麿や吉田茂のブレーンとして活躍した白洲次郎の父)は、兵庫県川辺郡伊丹町北村(現在の伊丹市春日丘4丁目)に、美術館を併設した豪奢な邸宅を建設しました。
しかし昭和大恐慌で没落、広大な敷地と邸宅は次々と手放されました。
平成30(2018)年、東福寺塔頭の正覚庵の本堂が昭和49(1974)年に移築された白州屋敷であると公表されました。