令和元年 天皇陛下御即位奉祝 春期京都非公開文化財特別公開
京都古文化保存協会から、平成31(2019)年から令和元年にかけての、春の非公開文化財特別公開の内容が発表されました。
期間は平成31年4月26日(金)~令和元年5月6日(月・休)です。
ただし、法要などで変更があったり、公開内容が未定の社寺がありますので、詳しくは京都古文化保存協会のサイトをご覧ください。
今上陛下のご譲位が4月30日(火・祝)、皇太子殿下のご即位が5月1日(水・祝)なのでちょうど会期が御代替わりと重なりました。
御代替わりなので、この春の公開は門跡寺院がずらりと揃っています。
公開される門跡寺院
門跡とは、天皇や皇族、貴族が出家して住持した寺のことです。
江戸時代には門跡を制度化して区分けされていましたが、明治4(1871)年に廃止されました。
門跡寺院は、
- (1) いつも拝観可能で、春とか秋には秘仏などを特別公開してくれるお寺
- (2) 通常拝観はできないけれど、春とか秋に拝観できるお寺
- (3) 通常拝観が不可で、特別公開も何年かに一度のお寺
- (4) 一切不可
の4通りあります。
今回の公開は、(3)に該当するお寺が慈受院・光照院・三時知恩寺の3ヶ寺もあります。
はっきりいって、この春はお得です。
もしもほかの門跡寺院にもお参りされるなら、京都市と奈良県の門跡寺院をまとめた記事があります。
慈受院
6年ぶりの公開です。
慈受院門跡は、薄雲御所・竹之御所・烏丸御所と称されます。
正長元(1428)年に足利義持室の日野栄子の開基で、後西天皇の皇女瑞光内親王や伏見宮の皇女が代々入寺しました。
応仁の乱や宝永5(1708)年の大火で移転が繰り返されました。
現在の本堂は、光格天皇の御産殿を下賜されたものです。
宝鏡寺
11年ぶりの公開です。
宝鏡寺門跡は、百々御所と称される尼門跡寺院です。
応安年間(1368年~1375年)に光厳天皇の皇女の華林宮恵厳禅尼が開山しました。
寛永26(1644)年に後水尾天皇の皇女の久厳理昌禅尼が入寺して以降、代々皇女が住持しました。
宝鏡寺は、内親王が入寺するさいに持ち込んだり、父である天皇から贈られたりした数多くの人形を所有しています。
毎年3月1日~4月3日に春の人形展が行なわれ、特別拝観することができます。
光照院
4年ぶりの公開です。
光照院門跡は、常磐御所と称される尼門跡寺院です。
延文元(1356)年、後伏見天皇の皇女の進子内親王が開山し、以降代々皇女が入寺しました。
三時知恩寺
4年ぶりの公開です。
三時知恩寺門跡は、入江御所と称する尼門跡寺院です。
14世紀の半ばに後光厳天皇の皇女の見子内親王が開山しました。
称光天皇皇女の了山尼公が住持して以来、代々皇女が住持しました。
天明の大火(1788年)で焼失、現在の堂宇は桃園天皇の皇女の御恭礼門院の旧殿が下賜されたものです。
得浄明院
4年ぶりの公開です。
開山は伏見宮邦家親王の皇女で善光寺大本願第117世の、久我誓円尼です。
明治27(1894)年、京都の人も善光寺参りができるようにと建立されました。
毎年ゴールデンウィークのイチハツ(アヤメの一種)の開花時期に、特別拝観することができます。
知恩院
慶長12(1607)年、徳川家康の猶子である後陽成天皇の皇子が得度、良純法親王となって知恩院の宮門跡となりました。
以降、明治3(1870)年まで続きました。
知恩院は承安5(1175)年、浄土宗の開祖の法然上人が、比叡山を下りて京で営んだ吉水の草庵から始まります。
知恩院の公開は4月28日(日)~5月10日(金)の予定です。
聖護院
9年ぶりの公開です。
聖護院門跡は、聖護院の森の中にあったことから「森御殿」と称されました。
寛治4(1090)年、増誉大僧正が白河上皇から賜わった寺が聖護院です。
後白河天皇の皇子、静恵法親王が入寺して以来、明治維新まで皇室と摂家から入寺しました。
大火による焼失と移転を繰り返し、延宝4(1676)年に建立の地に戻りました。
天明の大火(1786年)で御所が焼失したさい、再建されるまでの間、光格天皇がここを仮御所としました。
仁和寺 金堂・経蔵
仁和寺門跡は、御室御所と称されます。
仁和4(888)年、宇多天皇が父帝の光孝天皇の遺志を継いで仁和寺を造営し、ここで得度して法皇となりました。
性信法親王以降、明治元年まで法親王が門跡を継ぎました。
今回公開される金堂は、寛永年間に内裏紫宸殿が移築されたものです。
毘沙門堂
4年ぶりの公開です。
毘沙門堂門跡は大宝3(703)年、文武天皇の勅願により行基が開創しました。
焼失と移転を繰り返し、寛文5(1665)年に現在地に再建。
後西天皇の皇子の公弁法親王が入寺して以来、門跡寺院となりました。
天台宗五箇室門跡の一つです。
毘沙門堂は、4月26日(金)~5月10日(金)の公開です。
随心院
13年ぶりの公開です。
小野門跡と称されます。
正暦2(991)年、真言宗小野派の開祖の仁海僧正が、一条天皇から拝領した土地に建立されました。
寛喜元(1229)年、親厳大僧正が後堀河天皇から門跡の宣旨を賜わり、随心院門跡と称されることになりました。
ご本尊の秘仏如意輪観音菩薩は、3月1日(金)~31日(日)にも公開されます。
勧修寺
13年ぶりの公開です。
山科門跡と称されます。
昌泰3(900)年、醍醐天皇の勅願で、天皇の母の藤原胤子の追善のために建立されました。
文明2(1470)年に大火により焼失後、徳川氏と皇室の援助で再興してからは代々法親王が入寺して、門跡寺院として栄えました。
宸殿と書院は明正天皇の旧御殿を下賜されたものです。
初公開のお寺
春の非公開文化財特別公開の初公開寺院は、3ヶ寺あります。
聖護院塔頭 積善院
積善院は聖護院の塔頭です。
本堂に光格天皇の勅願による凖提観音が安置されています。
安祥寺
初公開です。
ご本尊の奈良時代の一木造の十一面観音菩薩が公開されます。
安祥寺は、4月26日(金)~5月10日(金)の公開です。
長楽寺
天皇ご即位のときのみご開帳される、ご本尊の准胝観音が公開されます。
ご開帳期間は5月1日(水・祝)~6月16日(日)です。
うち、5月1日(水・祝)~10日(金)は春の非公開文化財特別公開で、11日(土)以降はお寺独自の公開です。
拝観料が変わりますのでご注意を。