平成28年度 春季京都非公開文化財特別公開
京都古文化保存協会から、「平成28年度 京都春季非公開文化財特別公開」について発表されています。
期間は4月29日(金・祝)から5月8日(日)まで。
ただし、法要などで変更のある社寺がありますので、詳しくは京都古文化保存協会のサイトをご覧ください。
この春の初公開は、伏見区の社寺が多いですね。
伏見五福めぐりに属する社寺が3ヶ所あり、鳥羽殿に思いを寄せることのできる社寺があり、安産・子授けの祈願ができるお寺が3ヶ所あります。
伏見稲荷大社
棟方志功筆「稲荷大明神」掛軸が初公開です。
ふだんは社務所「正庁の間」に掲げられているようです。
棟方志功は伏見稲荷大社に滞在したことがあり、松ノ下屋に襖絵「御鷹図」も残しています。
今回は松ノ下屋も公開されます。
瑞光寺
初公開のお寺です。
明歴元(1655)年、彦根の井伊家に仕えていた元政が出家し、ここで庵を結びました。
元政が親孝行のために深草の竹で作ったうちわが、「元政型深草うちわ」です。
明治の頃に途絶えてしまいましたが、平成12(2000)年に復元されました。
このうちわも公開されます。
元政は二度と俗世には戻らないと縁を断って出家したため、その強い意志にあやかろうと縁切り祈願の信仰があります。
(出家のきっかけは江戸吉原の三浦屋高尾太夫の死による、という逸話もあります。)
城南宮
初公開の皇都春景図(晴山画、江戸時代)などが斎館で公開されます。
公開期間中、「藤の巫女神楽」が斎行されます。
4月29日(金・祝)と30日(土)は午前10時のみ、5月1日(日)から8日(日)の間は午前10時と午後3時の2回です。
また、4月29日(金・祝)は午後2時から曲水の宴が行なわれます。
神苑・源氏物語花の庭ではフジやサツキツツジが花盛りです。
安楽寿院
安楽寿院は鳥羽上皇が鳥羽離宮に建立した御堂が始まりです。
鳥羽上皇の念持仏で、建立のさいに納められたと伝わる阿弥陀如来坐像などが公開されます。
阿弥陀さまの胸に卍が記されているため、卍阿弥陀とも呼ばれます。
鳥羽伏見の戦いのおりには、当地に官軍(薩摩軍)の本営になりました。
城南宮とともに、鳥羽離宮の遺構です。
大黒寺
初公開のお寺です。
弘法大師の開基と伝わる古いお寺ですが、元和元(1615)年に伏見奉行山口駿河守が武運長久の祈願所に改めました。
幕末に西郷隆盛が大久保利通と会談した部屋や、寺田屋で殉難した薩摩九烈士の遺品などが公開されます。
伏見五福めぐりの大黒天をお祀りするお寺で、秘仏大黒天も公開されます。
御香宮神社
伏見城遺構の金瓦、伏見古絵図などが公開されます。
御香宮神社の表門は、伏見城の大手門を拝領したものです。
伏見城築城のさい、鬼門除けの神として勧請されました。
鳥羽伏見の戦いのおりには、当地に官軍(薩摩軍)の屯所が置かれました。
また伏見五福めぐりの安産守護のお社です。
長建寺
ご本尊の秘仏八臂弁財天像、宇賀神将像などが公開されます。
伏見奉行建部内匠頭政宇が中書島を開拓するさい、弁天さまをお祀りしたのが始まりです。
「島の弁天さん」と呼ばれます。
伏見五福めぐりの「願かけ寺」です。お守は古銭の形をしていて「種銭(貝守)」といい、開運・商売繁盛・諸芸上達のご利益があります。
おみくじは、比叡山の元三大師が作ったという「元三みくじ」を現代訳したもので、このお寺にしかないのだそうです。
善願寺
初公開のお寺です。
平安後期作の丈六の地蔵菩薩坐像や、岸良筆「雲龍図」「飛天図」などが公開されます。
地蔵菩薩は「腹帯地蔵」と呼ばれ、安産のご利益があります。
境内の樹齢千年を超える榧の木に、大仏師西村公朝師が刻んだ榧の木不動尊像(立木不動)があります。
法界寺
薬師堂(重文)が51年ぶりの公開です。
1051年に、日野資業が伝来の薬師像を胎内に納めた薬師如来を祀るために建立しました。
お薬師さまに安産・授乳・子授けのご利益があります。
当地は日野氏の所領で、この日野の里で生まれた浄土真宗の開祖の親鸞聖人は、法界寺の阿弥陀堂(国宝)にお参りしていました。
恵福寺
初公開のお寺です。
平安時代の木造阿弥陀如来立像や木造地蔵菩薩坐像などが公開されます。
お地蔵さまは寄木造の丈六の巨像で、法衣の下に下裳を付けているところから「腹帯地蔵」と呼ばれます。