雪のいと高うはあらで (感想)

枕草子・訳と感想

清少納言は、『枕草子』に何度も出てきますが、月の光が冴える雪景色がお好みです。

そんな日の夕方から、女房2~3人がぺちゃくちゃとおしゃべりに花を咲かせ、風流な貴公子が加わってもっと話が盛り上がり、「あの方がいらっしゃらなければ、話が長持ちしなかったわね」と言いながら、彼を題材にしてまた話に花が咲いた、という話です。

女房たちは廂の端とはいえ建物の内側なので火鉢で暖もとれるけど、貴公子のほうは寒い雪景色の中で足も折りたたまずに一晩過ごしたのですね。
風流人を気取るのも、楽ではなさそうです。

「今日来む」は拾遺和歌集の平 兼盛の歌「山里は雪降り積みて道もなし今日来む人をあはれとは見む」の一節です。
貴公子は、本当に忙しくて昼間には来られなかったのかどうかわかりませんが、この歌の引き立つころあいを狙っていたのでしょう。

「雪、なにかの山に満てり」は和漢朗詠集の謝観の詩「暁梁王の苑に入れば 雪群山に満てり  夜廋公が楼に登れば 月千里に明らかなり」の一節です。
群山を「なにの山」とぼやかす言い方をしていたようです。

清少納言は、詩を吟じながら去っていく貴公子もまた、お好みです。

2013年1月30日枕草子・訳と感想

Posted by 管理人めぶき