九月つごもりの和歌
今日11月13日は旧暦になおすと九月三十日で、「九月尽(つごもりの)日」です。
旧暦では七月から九月までが秋なので、今日で秋が終わり明日から冬です。
和歌では立冬の歌はあまりないので(私は見つけられませんでした)、冬は歓迎されざるものだったんですね。
そこで、勅撰集(八代集)から九月尽日の歌を数首とりあげます。
「9月30日と10月1日」では草の露も細い月の光も変わらないのですが、「九月尽日と十月朔日」といえば変わるような気もします。
九月尽日、秋を惜しむ心をよめる
藤原範永朝臣
明日よりはいとど時雨(しぐれ)や降りそはん暮れゆく秋を惜しむ袂に
九月尽日よみ侍ける
法眼源賢
秋はただ今日許(ばかり)ぞとながむれば夕暮にさへなりにけるかな
九月つごもりに
つらゆき
長月の在明(ありあけ)の月はありながらはかなく秋は過(す)ぎぬべら也
同じつごもりに
みつね
いづ方に夜はなりぬらんおぼつかな明(あ)けぬ限(かぎ)りは秋ぞと思(おも)はん
九月晦夜よみ侍りける
源 兼長
夜もすがらながめてだにも慰めむ明けて見るべき秋の空かは
百首歌たてまつりける時、九月尽の心をよめる
花園左大臣家小大進
今夜(こよひ)まで秋はかぎれとさだめける神代(かみよ)もさらにうらめしきかな