星は すばる(感想と解説)
昴とはプレアデス星団の和名で、「六連星(むつらぼし)」とも呼ばれます。
6つの星が密集していますが、7つめの星が見えたら視力がいい、といわれています。
冬の星座です。
彦星はわし座のアルタイルです。
こと座のベガ(織り姫星)と、はくちょう座のデネブと、この星を結んで「夏の大三角形」と呼ばれます。
宵の明星は、金星です。
金星の動きにより、宵の明星は1月から10月末まで夕方の西の空に見えます。
それ以外の時期は明けの明星となり、明け方の東の空に輝きます。
と、清少納言は一般的な星の名前を上げているのですが、解釈が難しいのが最後の流れ星。
尾を引いて流れる星といえば、彗星。
古来、彗星は妖星で災いをもたらす不吉なものとされ、それが出現したときは大赦をし、改元もされました。
藤原定子が中宮になる前年(989)にハレー彗星が出現し、大赦と改元がされています。
流れ星には「天狗星」という異名があり、これが長く天に現れ音や長く引く光があった場合は、凶変の兆しとされました(隕石の落下ではないのかな)。
「尾だになからましかば」は、天狗星のような凶星でなければいいのに、という意でしょうか。
だが、清少納言の書き方は、そのような凶星ではなくもっと穏便です。
現代の私たちが願い事を3回唱えたくなるような、ごく平穏な流れ星のことでしょう。
ではなぜ「しっぽだけでもなかったなら」なのでしょうか。
夜這いといえば「夜、女性の寝所にしのび込むこと」で、当時の男女間では当然のお約束事です。
で、後朝の別れをするのがマナーです。
が、そうではない、はっきり言ってとろくさい男もいたでしょう。
そこで、清少納言ねえさんはこう言っているのかもしれません。
「忍び込んでくるのはいいんだけどさ、しっぽ捕まれる前にスマートに出て行きなさいよ」
(2005年3月7日掲載分を改訂)