木津川市 2015秋の社寺秘宝・秘仏特別開扉

京都・特別拝観

京都府木津川市で、「社寺探訪 木津川市のほとけたち」と題して通常非公開の社寺11ヶ所の仏像や宝物が公開されています。

岩船寺と浄瑠璃寺はすでに10月1日(木)から一部が公開されていますが、ほかの社寺の公開は10月31日(土)から11月3日(火・祝)に集中しています。

木津川市は京都府の南端に位置し、奈良県の北端にある奈良市と隣接しています。
奈良の東大寺の大仏建立のさい、物資の輸送に市内を流れる木津川が利用されました。

また聖武天皇は一時期、木津川沿いにある恭仁宮(今年、元日朝賀や天皇の即位儀礼のさいに立てられる宝幢の跡が発掘されました)に都を移したこともあります。

京都に都が移ったのちは、都と奈良や伊勢を結ぶ街道の宿場町として栄えました。

「社寺探訪 木津川市のほとけたち」のパンフレット(pdf)から、参加11社寺について簡単に紹介します。

蟹満寺
10月24日(土)から11月3日(火・祝) 8時30分から16時まで
釈迦如来坐像(国宝)、十二天屏風
蟹が、助けてくれた女性を蛇から守った「蟹の恩返し」の伝説で有名な寺。
釈迦如来坐像は、飛鳥大仏や興福寺の旧山田寺仏頭、薬師寺の薬師如来像と同時代の金銅仏と考えられています。
白鳳時代に当地にいた渡来人による創建とされます。
神童寺
10月24日(土)から11月3日(火・祝) 9時から16時30分まで
愛染明王坐像(重文)、白不動明王立像(重文)、日光・月光菩薩(重文)、阿弥陀如来坐像(重文)など
一帯は修験道の修行の地で、本尊の蔵王権現像は役行者が2人の神童の力を得て自ら刻んだと伝わります。
愛染明王坐像は矢を天に向けて番える珍しいもので、日本に3体しかないそうです。
白不動明王立像は忿怒相が怖くない、最古の部類に属する姿をしています。
大智寺
10月31日(土)から11月3日(火・祝) 10時から16時まで
文殊菩薩坐像(重文)、十一面観音立像(重文)
奈良時代に行基が架けた木津川の泉大橋が流され、西大寺の慈真が残された橋柱の部材を使って文殊菩薩を刻みました。
のちに堂宇を建立して文殊菩薩像を安置したのが始まりとされます。
黄檗宗の宗祖隠元の筆による扁額、厨子入り聖徳太子立像なども公開されます。
安福寺
10月31日(土)から11月3日(火・祝) 10時から16時まで
阿弥陀如来坐像(市指定)、平 重衡肖像画
「南都焼失」で東大寺などを燃やした平 重衡が、処刑前に最後に拝んだ阿弥陀如来像が本尊です。
彼を哀れんだ木津の村人たちは本堂を「哀堂(あわれんどう)と呼び、処刑から200~300年後に重衝を埋葬した地に十三重石塔を建立したと伝わります。
御霊神社
10月31日(土)から11月3日(火・祝) 10時から16時まで
木津浜絵馬
岡田國神社、田中神社とともに「木津三社」と称され、10月第4土・日曜日には木津川市の指定無形民俗文化財である木津御輿太鼓祭が行なわれます。
海住山寺
10月31日(土)から11月15日(日) 9時から15時30分まで
十一面観音立像(重文)、四天王立像(重文)、文殊堂内部(重文)
五重塔(国宝)初層公開は10月31日(土)から11月8日(日)まで 荒天時は開扉中止
聖武天皇が東大寺の大仏建立の無事を祈願して、良弁に堂宇を建立させ十一面観音を安置しましたが焼亡。
鎌倉時代に笠置寺にいた貞慶が復興、弟子の覚真が伽藍を調えました。
海住山寺から南都仏教を再興させた高僧たちが輩出されました。
五重塔は鎌倉時代の傑作といわれます。
旧燈明寺
10月31日(土)から11月3日(火・祝) 10時から16時まで
千手観音立像、十一面観音立像、不空羂索観音立像、聖観音立像、馬頭観音立像
開基は奈良時代の行基の説と、平安時代初期の貞暁の説があり、よくわかっていません。
鎌倉時代から再興と荒廃を繰り返し、昭和27年には廃寺となってしまいました。本堂は昭和57年に横浜市三渓園に移築されています。
現在は「一般財団法人 川合京都仏教美術財団」が本堂跡地に収蔵庫を建て、仏像を管理しています。
公開される観音像はすべて鎌倉時代の作です。
西明寺
10月31日(土)から11月3日(火・祝) 10時から16時まで
薬師如来坐像(重文)
行基ゆかりの寺と伝わりますが、江戸時代に川の氾濫により現在地に移転しました。
本尊の薬師如来坐像は平安時代の永承2年(1047年)の造立です。
高田寺
10月31日(土)から11月3日(火・祝) 9時から16時まで
薬師如来坐像(重文)
奈良時代の創建で、本尊の薬師如来坐像は平安時代の保安年間の作と考えられます。
ほかに、阿弥陀如来は鎌倉時代のもの。
岩船寺
10月1日(木)から11月30日(月) 8時30分から16時45分まで
普賢菩薩騎象像(重文)、両界曼荼羅、岩船寺縁起など。
三重塔(重文)初層公開は、10月4日(日)、11日(日)、12日(月・祝)、18日(日)、24日(土)から11月9日(月)、15日(日)、22日(日)、23日(月・祝)、29日(日) 雨天・荒天時は中止の場合あり
聖武天皇の勅願により、行基が建立した阿弥陀堂を始まりとします。
本尊阿弥陀如来坐像は行基の作、普賢菩薩騎象像は智泉の作とされます。
三重塔は仁明天皇が智泉をしのんで建立したものです。
浄瑠璃寺
10月1日(木)から11月30日(月) 8時30分から16時30分まで
九体阿弥陀如来坐像(国宝)、四天王立像(国宝)、吉祥天女立像(重文)
三重塔(重文)初層公開は10月24日(土)から11月3日(火・祝) 荒天時は中止の場合あり
開基は奈良時代の行基との説がありますが、平安時代の義明との説もあります。
興福寺一条院の門跡により寺観が整えられました。
梵字の阿字をかたどった池の、西側に九体阿弥陀仏(国宝)を祀る九体阿弥陀堂(国宝)があります。
池の東側には三重塔(国宝)があり、薬師如来像(重文)が安置されています。

これらの社寺を回るには、JR奈良線・JR学研都市線の木津駅を起点にして、コミュニティバスを利用すると便利です。
しかし、コミュニティバスは平日のみの運行の路線や、1時間前に予約が必要な路線があるため、事前に綿密な予定を立てる必要があります。

くわしくは木津川市観光協会の公式サイト「木津川市観光サイト」、コミュニティバスの運行は木津川市のサイトをご覧下さい。

2015年10月26日京都・特別拝観

Posted by 管理人めぶき