九月二十日あまりのほど、初瀬に詣でて(訳)
旧暦で九月二十日頃といえば、新暦では10月後半から11月半ばくらいでしょう。
十三夜の月見も終わって、夜の空気に寒さが増した頃の話です。
角川文庫版『枕草子 下巻』の第214段です。
九月二十日くらいのこと、長谷寺詣でをして、まったく何の変哲もない家に泊まったが、たいへん疲れていたのですぐに寝てしまった。
夜が更けて、月の光が窓の隙間から入ってきて、他の人たちがかぶって寝ている衣の上をそこだけ白く浮かび上がらせているのが、ああ、素晴らしいと思った。
そんな時にこそ、人は歌を詠むのだなあ。