十二月二十四日、宮の御仏名の(訳)

枕草子・月, 枕草子・訳と感想

珍しいことに奈良市内に11センチの積雪があった日に、訳しました。
その日は、我が家の「身分の低い者の見苦しい家の屋根」も等しく白くなっていました。

角川文庫版『枕草子 (下巻) 』第248段です。
今回は文が長くて訳し辛かったです。


十二月二十四日、中宮さま主催の御仏名会の半夜の唱導師を聞いてから出て行く人は、出発時間が夜中ぐらいを過ぎていただろうな。

数日来降っていた雪が今日は止んで、風とかがひどく吹いていたので、つららが一面にできている。

地面とかにだけまだらに白い部分の方が多くて、屋根の上は全くおしなべて白くて、身分の低い者の見苦しい家の屋根も雪に皆覆い隠されて、有明の月が雲に隠れていないのは、ただもう素晴らしい。

銀などを屋根に葺いているようで、まるで水晶の滝などと言い表したいと思うような光景で、その滝は長かったり短かかったり、わざと一面に水晶の水を掛けているようにみえて言葉にできない見事さで、

下簾を掛けていない牛車が簾を大変高く上げたので、月の光が車の奥まで差し込んだら、薄色、白色、紅梅など7、8枚くらい着ている上に、表着の濃い紫の艶などがとても目に鮮やかに見えて月の光に映えて趣味よく見える傍に、

葡萄染の固紋の指貫、白い衣が多く山吹色、紅などの衣を着崩して、直衣がとても白く、襟の所の紐を解き、片方の肩を脱いで片袖を垂らすとその脱いだ分の直衣の下の衣が大層牛車の外に溢れ出た。

指貫の足の片方は軾の下に踏み出しているなんて、道を行く人がその車に出会ったなら、雰囲気がいいと見るのが当然だ。

無遠慮な月の光の下、後ろ向きにそっと中に入っていつもと変わらず引き寄せ、光のせいであえて丸見えにされて当惑するのもいい感じだ。

「凛々として氷鋪けり」という歌を繰り返し朗詠していらっしゃるのは非常に趣味がよくて、一晩中でもこうして歩きたいのに目的地の近づいたのも、残念だ。

Posted by 管理人めぶき