不可思議の月

近現代短歌

今月9日に、歌人の山中智恵子さんが亡くなっていました。

山中さんは短歌を詠むだけではなく、伊勢神宮の斎宮史や三輪山に関する研究をなさっていました。

三輪山の麓に、第10代崇神天皇が都に定めた瑞籬宮(みずがきのみや)がありました。
この崇神天皇のとき、皇居に奉斎されてきた八咫鏡(やたのかがみ)の神威がおそれられ、笠縫邑に移されました。
次の垂仁天皇のとき、倭姫命がこの鏡を奉じてその鎮まる場所を探しやがて五十鈴の川上に鎮座、伊勢神宮となりました。

山中さんの研究、そして歌もまたこのルートをたどっていました。

三輪山や斎宮について書籍やネットで調べていくと、必ず山中さんのお名前にたどり着きました。
歌人としてではなく、研究者として認識しておりました。

三輪山の背後より不可思議の月立てりはじめに月と呼びしひとはや

ある時、私は大和三山のうちの耳成山と天の香具山、そして龍王山と三輪山を一度に望む機会を得たことがあります。
その夜の月光は、町並みを白く、山々を黒く浮かび上がらせていました。
私もその「はじめに月と呼びしひと」の感動の、何分の一かは味わうことができたのでしょうか。

今夜は皓々と月が光っています。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

Posted by 管理人めぶき